Quantcast
Channel: 梅の浪花守り隊7
Viewing all articles
Browse latest Browse all 820

文楽鑑賞日誌(また妹背山に行きたい)

$
0
0
イメージ 1
さて、今回からプログリニューアルということで、文楽鑑賞日誌も再開しました。この前の初春公演の鑑賞日誌をさぼってしまい、なにわ天下一学園に呼び出され、堂島二―ナちゃんにしぼられ、ドリームアカデミーでは〆さごし打ちで公開処刑にさらされる始末、でもこれからは鑑賞日誌をさぼったりしません。
 
さて、今回、国立文楽劇場文楽四月公演は六年ぶりに妹背山婦女庭訓です。以前見過ごしていたポイントを含め、再検証していきましょう。この演目は大化の改新が絡んだ奈良県のロマンスストーリーです、三輪の苧環とか石子詰めと十三鐘とか奈良県に隠された様々な伝説もこの中にぎっしり詰まっています、実は幸若舞や謡曲がプロトタイプとして存在していることが判明、それをうまく組み込んでいる。明和八年一月大阪竹本座初演
 
演目の説明をしていると我々だったら一旦語りだすと長くなりそうなので、ジャッジメントタイムと行きましょう。大空あかりちゃんや氷上すみれちゃんとミーティングした結果、今回は「可愛く感じる部分」と「運命的な部分」にスポットを当ててみました。初段はいかにも可愛らしい掛け合いが多いです、でもこの段落は後の久我之助と雛鳥の哀しい結末につながるので、最初は腰元同士の久我之助をめぐる可愛い掛け合いがありましたが、大判事が出てくると状況は一変します、咲寿大夫君と靖大夫くんのイントネーションある掛け合いが可愛くてたまらない!蝦夷館の段から太宰館の段までのシチュエーションは冬のようです、印象的だったのが久我之助と宮越玄蕃と弥藤次による2対1のバトルシーンで大判事の館の上から出てくるオリ、あれが今まで謎だったのです、ひょっとしてあれは誰かを拉致するためのものかな?と思っていました。若手である小住大夫君、この段落での語りはまだまだライトな感じ、蝦夷館は大判事を中心とした話ですから、少しヘビーな感じでもよかったかな?時代物で立役メインといえばそれぐらい重くても・・・そうすれば「運命」という感覚が出てくる。以前気付かなかったなと思う火鉢大爆発、あれと同時にめどの方を大判事が首を落とす、そして、行主の胸に矢が直撃!ショッキングな場面に目が覚めました。続いて猿沢池の段は池に入水してしまった采女を偲ぶ天智帝がメインです、こちらも何か運命を感じる、今回豊松清十郎師匠はね、淡海、初役ですよ。それでもこの段落における帝を守ろうとする淡海の潔さを見事に表しました、たいしたもんだ!勘寿ちゃんもね、この時だけは采女を偲ぶエンペラーの役柄だからそれにふさわしい存在感を出してくれて。
二年前まで住大夫師匠のタッグパートナーだった野澤錦糸師匠の三味線の音が聴き良いなと感じたのは太宰館の段における大判事の「立派な男」としての威容、そして、出陣する蘇我入鹿の勇ましさ、その部分です。
あ、例のアレといえば、吉田和生師匠、玉男師匠、ごめんなさい。また妹山背山の段の冒頭で現れた紅白の幕を見てアメリカ国旗を連想して爆笑してしまいました!この段落、出語り床が二つあるからまるで雛鳥・定高と大判事・久我之助がチャットをしているようなやりとりが多いです、さらに「恋し小石」というダジャレも。今聴くと今まで気がつかなかったところが以外にあったりして、今で言うと雛鳥と久我之助が吉野川越しに近距離でLINEメッセージのやりとりをしているようなものです。「心ばかりが、い・だ・き・あ・い」と「胸は霞に埋もれし庵い・の・お・お・お」これは二人で秘密のパスワードを伝えているみたいですね、吉野川を基準に妹山に呂勢大夫くん&咲甫大夫君、背山には千歳大夫くんと文字久大夫くん、それぞれバイオリンク効果が現れて、まるで本当に心の中でチャット通信しているみたい。そんなところがグッド、藤蔵師匠の三味線の音もまたまた聴きようて。「恩愛義理をせき下す」の部分は同時にユニゾンでダイレクトアタック。全編を通じて初役の大判事を力強く見せた玉男師匠もたいしたもんだと言いたいです、「定高殿」の和生師匠も。あ、そうそう、桐竹勘十郎師匠にもごめんなさいと言わないとならないことがあった、実は「小松原の段」で久我之助と雛鳥、小菊の衣装の色でサンバルカンやゴーバスターズなどの三人戦隊の服の色を連想してしまい、少し笑ってしまったことがあります。赤青黄色が揃ったときにそんなこと感じたことのある方結構いると思うでしょ。
 
そんなことをまとめているうちにまた妹背山に行きたくなってきた。
 
 
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 820

Trending Articles